高橋 弘 著 「素顔のモルモン教」


W モルモン教と黒人問題−
その後の経緯


 ヤングの死後、いろいろな指導者が現れたが、基本的にはヤングの思想を受け継ぎ、ヤングの路線に沿って歩んだ。とくに二〇世紀後半は、公民権運動の高まりに呼応するようにモルモン教会はよりかたくなに、より保守的になっていった。こういう中で、ジョセフ・スミスの黒人にたいする柔軟な、温かみのある父親のような態度などは忘れ去られ、ラディカルなヤングの思想のみがモルモン教の公式思想・態度になっていった。また、その過程で黒人の神権保持者がいたということも、また黒人との人種間結婚があったということも、しかも大管長がそれを認めていたということも、故意に無視されていくのである。

 一九七八年、モルモン教会は、モルモン教の市民権とでもいうべき神権を黒人に与える決定をした。長かった人種主義に終止符をうち、黒人差別撤廃のための第一歩をようやく踏みだしたのである。現在のモルモン教会は、すでに述べたように、まだ様々な矛盾や問題をかかえつつ、しかし黒人差別の問題にはじめて本格的に取組み始めたのである。


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