高橋 弘 著 「素顔のモルモン教」


T 素顔のモルモン教 − 
10 モルモン教会のビジネス


モルモン教会はすべての信徒に収入の一〇パーセントを捧げるよう指導している。この結果、モルモン教会は世界中でもっとも裕福な教団の一つになった。一九六二年一月二二日のニューズ・ウィーク誌は次のような記事をのせている。

「西部のもっとも大きな企業は、カリフォルニアの巨大銀行バンク・オブ・アメリカを別にすれば、モルモン教と呼ばれる非営利団体『末日聖徒イエス・ソリスト教会』である。モルモン教会は、ビジネスや不動産への投資から一日当たり優に一〇〇万ドル(当時の金額では三億六〇〇〇万円)が転がり込むと見積もられている。・・・モルモン教徒は、先週のニューヨークでの発表を聞いたら、驚嘆したに違いない。モルモン教会は、将来チャペル、音楽ホール、教会図書館、教会本部、貸室のための三、四〇階建てのビル建設のために、マンハッタンの一等地に一三〇万ドルの土地を購入した。・・・モルモン教会は、現在、ホテル・ユタの隣に三六〇万ドルの新館を建設中である・・・」。

 このニューズ・ウィークのような記事は、取りたててめずらしい記事ではない。近年、モルモン教会は、経済アナリストなどの経済分野の専門家やコンピューターのプロを多数雇い、コンピューターを駆使して全米の有力な企業や不動産への投資、株の売買などに幅広く手をだし、巨額の利益を得ているからである。

 信徒からの献金と、財テクによる収入という巨大な財舷を背景に、モルモン教会は大学(ブリガム・ヤング大学など)、保険会社(ベネフィシャル・ライフ保険など)、新聞社(デザレット・ニューズ社など)、病院、ホテル、モーテル、オーケストラ、ラジオ・テレビ局、各種工場などを所有・経営している。またモルモン教会が筆頭株主である有力企業は、たとえば、ウオルト・ディズニー・プロダクションズ、マリオット・ホテル、マックス・ファクター、セイブ・オン・ドラッグズ、スタンダード石油、などである。

 こうした様々なビジネスに手をだす一方、モルモン教会はその潤沢な資金を背景に、活発な政治活動を展開し、また新聞、テレビ、ラジオ局等の買収にも余念がない。新聞は教会の考えを表明し、モルモン教の明るいイメージを定着させるにはテレビ、ラジオが最適であり、P・Rには不可欠である。

 モルモン教会が所有するラジオ局、テレビ局をあげてみると、たとえばユタ州(ソルトレーク・シティ)、ワシントン州(シアトル)、アイダホ州(アイダホ・フォールズ、およびボワーズ)、ニュー・ヨーク州(ニュー・ヨーク市)にテレビ局とAM、FMのラジオ局を所有している。マサチュセッツ州(シィチュエイト)からはWNYWという国際局を持ち、世界に電波を送っている。この他にも、カンザス州でKMBC−AMとKMBC−FMを二〇〇万ドルで買収したり、モルモン教会が所有する新聞社デザレット・ニューズ社がKMBC−TV(チャンネル五)を持っている。


前に戻る   次へ進む

「素顔のモルモン教」へ戻る

HOME 「ようこそ」ページへ