多妻結婚の「教義」


1855年に使徒パーレイ・P・プラットは「神学への鍵(Key to the Science of Theology)」という書物を出版している。その2年後に彼は暗殺されたが、教会は「神学への鍵」の再版を重ねている。1965年に教会所有の出版社であるデゼレト・ブック社は第9版を発行しているが、初版と比較すると重要な部分、特に多妻結婚に関する記述が大きく改変されている。1855年には以下のような記述が見られるが、1965年版では、何の注釈もなく斜体の部分が削除されている。

これは、古代から神の御子の定めた永遠の神権の鍵を持つ者たちに啓示され、この時代の聖徒たちに神権によって回復された、天の永遠の律法である。
重ねて言うが、すべての事柄に忠実である男性が、主の言葉により、天においても地においても永遠にわたって結び固める鍵を持つ者の業を通じて二人以上の妻を娶ることができるということは、古代の神権の律法であり、現在回復された律法なのである。
アブラハム、イサク、ヤコブ、モーセといった古の族長や予言者たちについても、同様である。この律法の意図している目的は、子供達に真理を教え、救いの神聖な原則にしたがって育てることのできる、善良でふさわしい父親の子供たちを増やすことにある。これは、無知でふさわしくないこの世の血統に子供たちを託して彼らを誤りと偽りと無知と罪の中で育てるより、はるかに望ましいことなのである。
アブラハム、イサク、ヤコブの子孫たちが交わした永遠の誓約に伴う祝福の特徴は、彼らの子孫が増え、その血統に、王として、神の祭司としての力を永遠に保つことにある。この誓約が実行され成就されることを助けるために、善良で徳高い女性が、ふさわしい予言者や統治者、賢明で徳高い男性に与えられるのである。ヤコブの4人の妻について語られているように、「彼女たちがイスラエルの家を築いた」のだ。
特別な祝福や励ましが、善良な忠実な男性と、その妻たちや子供たちにも与えられた。また、彼らには神からの誉れが与えられ、彼らを知る人々からの尊敬も得た。そして、100人の子供を持つ父親には、100の戦争を戦った者以上に栄誉が称えられ、一方で、姦淫、私通といった法律で認められない性的関係を持つことは、固く禁じられ、最も重い死刑という罰に価したのである。
イスラエルの娘は、売春により、徳高い妻・母親の義務を負うにはふさわしくないとされ、生きているべきでないとされた。命の泉をもてあそぶ男性も、女性を創造された目的にかなわない扱いをしたとされ、死の罰が課せられたのである。
性的関係を夫婦間のみに限定するため、男女共に、厳格な律法が与えられ、教えられた。
("Key to the Science of Theology" by Parley P. Pratt)

斜体の部分を読むと、モルモン教会の独善的な姿勢がよくわかる。いずれにせよ、教会が世間を欺くためにこのような改変を行ったことは事実である。しかし使徒リグランド・リチャーズ長老は「私は教会が真実であることを知っており、天から啓示された教義は変えられていない」(1966年5月11日付けのタナー夫妻への手紙)と主張している。ヒュー・ニブレイ長老はこう言っている。

モルモン教徒の知っている福音は、ジョセフ・スミスの言葉から育ったものである。それは決して後から手を加えられたことはなく、改訂も変更もなされたことはない。("No, Ma'am, That's Not History" by Hugh Nibley)

リチャーズ長老もニブレイ長老も、明らかに誤っている。教会指導者は、教会の教義を変えるだけでなく、あたかも教義の変更がなかったように見せかけるために、出版物や歴史記録にも変更を加えているのである。

「神学への鍵」が改変されたのは、プラット長老の死後、何年も経ってからである。彼の死から26年後に出版された1883年版は、1855年の初版と全く変わっていない。教会は、原著者の許可なしに、内容を改変したということである。

参考文献:"Mormonism - Shadow or Reality?" by Jerald and Sandra Tanner

関連ページ:「素顔のモルモン教−『啓示』が最優先される宗教」


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