啓示改変の隠蔽工作


「誡命の書」と「教義と聖約」を逐一対比してみれば、どの啓示を改変したかは一目瞭然である。モルモン教会の当然の反応として、「誡命の書」が一般の目に触れないよう、さまざまな手段を講じている。

反モルモン活動家として知られるタナー夫妻は、ブリガム・ヤング大学のマイクロフィルムから、第4代大管長ウィルフォード・ウッドラフが所蔵していた「誡命の書」の最初の41ページのコピーを入手した。教会歴史事務局はこのことを知るに及び、ブリガム・ヤング大学図書館に対して、タナー夫妻にそれ以上コピーをとらせないよう、即座に指示を出した。その結果、タナー夫妻がブリガム・ヤング大学図書館に「誡命の書」の残りの部分のコピー提供を依頼したところ、以下のような手紙が届いた。

「誡命の書」のコピーを貴殿にお送りすることはできなくなりました。ご要望の資料は教会歴史事務局から提供されたものであり、教会が使用するためのもので、コピー及び出版されるためのものではありません。・・・コピーにあたっては、資料の所有者である教会歴史事務局の許可が必要です。(1961年4月11日付けのタナー夫妻宛の書簡より)

「誡命の書」の著作権は何年も前に消滅しており、教会がコピーの提供を拒むのは「誡命の書」が一般公開されることから守るためだということは明白である。タナー夫妻はブリガム・ヤング大学の事務副長であるウィリアム・E・ベレット氏を通じて「誡命の書」のコピーの入手を依頼したが、彼の返答は以下の通りであった。

残念ながら、ご要望の「誡命の書」のコピー入手のお役には立てません。教会歴史事務局に手紙を出しましたが、彼らの方針として、教会が所有する「誡めの書」のコピーの提供は行なわないとのことです。・・・私は誰がコピーを欲しがっているかについては明かしませんでしたが、彼らは返答の中で、あなた方へのコピーの提供を拒絶したことや、コピーを欲している個人の名前を明かす必要があることも示唆していました。

1961年のうちに、いろいろな手段をつくしてタナー夫妻は「誡命の書」をコピー印刷版として再版を完成することができた。ブリガム・ヤング大学を通じて入手した41ページと、エール大学から入手した残りのページからなるものである。コピー製版の担当者は「誡命の書」のコピーを廃棄するよう圧力がかけられたと証言している。幸いそのような圧力に負けず、「誡命の書」の再版を出版することができたが、ソルトレークシティの新聞社はことごとく、広告の掲載を拒絶した。それから数ヶ月経過し、今度はウィルフォード・ウッド(注:ウッドラフではない)なる人物が、「誡命の書」のコピーと「教義と聖約」の初版を、「Joseph Smith Begins His Work, Vol.2」というタイトルの本で出版した。彼は以前に「モルモン書」の初版を「Joseph Smith Begins His Work, Vol.1」として出版している。モルモン教会の指導者は、教会所有のデゼレト出版社が印刷し、ソルトレークシティの新聞社が広告を掲載したことから、タナー夫妻の出版物に対するような警戒心は抱かずにウッド氏の本を受け止めた。その本の中では、啓示や「モルモン書」が改変されたことには触れられておらず、発行当時、教会指導者もその本を禁書にしようとはしなかった。それどころか、教会指導者は「誡命の書」の原本を教会所有の書店であるデゼレト・ブックストアに展示することさえ許可した。教会指導者は教会員に対して、「誡命の書」が再版されたことについて教会が喜んでいるという印象を与えようとしたことは見え見えである。教会指導者は、教会員が「誡命の書」を「教義と聖約」と比較対照しない限り安全だと考えていたのかも知れない。しかし実際には、教会員は「誡命の書」と「教義と聖約」を比較し、さまざまな改変が加えられていることを発見してしまった。

1964年10月9日、ある人物がタナー夫妻のもとを訪れ、デゼレト・ブックストアが「Joseph Smith Begins His Work, Vol.1 and 2」の販売を拒否したと伝えている。翌10日にタナー夫人がデゼレト・ブックストアに行き、その本について問い合わせてみた。店員は、タナー夫人が教会員であるものと推察し、「デビッド・O・マッケイ大管長がもう販売させてくれないのです。この本のせいで、何人かの教会員が教会から離れてしまったのです。他の教会の牧師たちがこの本を使って人々を惑わせているのです。だからもうこの本を売ることはできないのです。マッケイ大管長は配本リストからはずしてしまいました」と語った。

1964年10月13日、反モルモンの論者であるウェズレイ・P・ウォルターズ氏がデゼレト・ブックストアに「Joseph Smith Begins His Work, Vol.1 and 2」を注文したところ、丁重な返答が担当者から届いた。

ウィルフォード・ウッド著の「Joseph Smith Begins His Work, Vol.1 and 2」のご注文をいただきありがとうございました。残念ながら上記2冊は絶版となっております。(1964年10月16日付)

タナー夫妻がウィルフォード・ウッド氏に、教会が彼の著書を禁書にしようとしていることを伝えたところ、手紙で以下のように返答している。

あなたの手紙をマッケイ大管長やデゼレトブックでの販売を中止した責任者に見せることをお許しいただけるでしょうか。・・・予言者ジョセフ・スミスや教会の基盤についての事実を知ることによって傷つくという人は誰でも、予言者を愛する振りをして実は裏切っているのだということの代償を支払わなければならないでしょう。(1964年10月27日付)

ウィルフォード・ウッド氏は、教会の大管長との面会し、著作の販売中止を解くことを求めたがうまくいかなかったようである。ウッド氏は、1967年3月22日付けで、タナー夫妻にエドモンド・C・グラス氏宛の手紙のコピーを送っている。

3月10日付貴信への回答は以下の通りです。
1.現在それらの本は在庫切れとなっているでしょうか?いいえ、在庫切れになったことはありません
2.マッケイ大管長はデゼレトブックストアでのその本の販売を差し止めたのでしょうか?答えは「ノー」です。
3.教会幹部の個人名は挙げませんが、事実はこうです。「インプルーヴメント・エラ」(教会発行の機関誌)の質疑応答コーナーですべての質問に答えることとなっている人物が、デゼレトブックストアでのその本の販売を中止させたのです。その人は私が歴史的事実について行なったほとんどあらゆることについて、脇腹に刺さったトゲのように私を苦しめて来ました。その人物は教会初期の歴史的事実について、特に自分が答えられない事柄について、聞きたい人の味方をすることができないのです。
自分の住む建物の基盤が誤っていたり、この時代の教会に属する誰もが予言者ジョセフ・スミスを信じていると主張しながら福音の回復に関する歴史的事実を否定するとは、何と哀れなことでしょうか。ご参考までにお伝えしますが、マッケイ大管長は私に少なくとも二度以上、デゼレトブック社で「Joseph Smith Begins His Work」の第1巻・第2巻が販売されるよう取り計らってくれるとおっしゃいました。しかし今のところそれはうまくいっていません。私はマッケイ大管長を心から愛しており、彼は予言者ジョセフ・スミスに関したいかなる事実も否定なさらないことを知っています。(ウッド氏がエドモンド・C・グラス氏に宛てた1967年3月22日付の手紙)

「インプルーヴメント・エラ」の読者なら、ジョセフ・フィールディング・スミスこそが「すべての質問に答えることとなっている人物」であるとわかる。彼は何年にもわたって同誌の質疑応答コーナーを執筆していたのである。1970年、彼は教会の第10代大管長に任命された。ジョセフ・フィールディング・スミスが教会の大管長となった以降も、ウッド氏の著作の禁書は解けなかった。1971年6月、タナー夫妻がデゼレトブックストアに問い合わせたところ、絶版となっているとの回答を受けている。しかしそれは全くの嘘である。何年にもわたって彼らはそのような回答をしてきたが、実はタナー夫妻はその期間に何百冊と販売しているのである。モルモン教会の管理下にない書店でも、販売は続いている。

ウッド氏の著作に対する禁書処分は、モルモン教会の使徒トーマス・S・モンソンにとって、極めて不名誉なことであった。なぜなら、それが出版された時、彼はデゼレト出版社の副工場長だったからである。彼は例の本が原書から忠実にコピーされたものであることを証明して署名をしていたのだ。「Joseph Smith Begins His Work」第2巻では、以下の文章に彼は署名をしている。

われわれデゼレトニュース出版社は、ウィルフォード・C・ウッド氏の所有する原書、「誡命の書(1833年版)」と「教義と聖約(1835年版)」からコピー製版技術によりここに印刷されたことを証明する。

モルモン教会は、その基盤が神からの啓示にあると公言しており、啓示が神からのものであるということに疑念を抱かせる要素をできる限り排除したいというのが本音である。そのため、都合の悪い歴史的事実はすべて公の目に触れないよう、配慮をしている。しかし、「都合の悪い歴史的事実」が存在するということは、必ずしも教会内で周知徹底されていないため、ウッド氏の著作への対応が一貫していないのである。これは、モルモン教会が今まで「都合の悪い歴史的事実」から目を背け続けてきたことの証拠でもある。モルモン教会とその教義の起源とされている事柄は、もはや歴史的検証に耐えられないことを、モルモン教会自らが認めているのと同じである。

参考文献:"Mormonism - Shadow or Reality?" by Jerald and Sandra Tanner


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