「教義と聖約」第7章における改変


この啓示は、使徒ヨハネが記した羊皮紙の翻訳だということになっている。ジョセフ・スミスは「ウリムとトミム」を使って翻訳したと主張している。1833年に「誡命の書」に収録された時には143語から成っていたが、1835年の「教義と聖約」では252語になっている。109語も増えている。こんなべらぼうな翻訳というものがあるだろうか

モルモン教会擁護者も、これについては説明のしようがないようである。メルビン・J・ピーターセンはこう述べている。

「誡命の書」の第6章には使徒ヨハネが福音書を記したという羊皮紙からの翻訳とされる啓示が記されている。「教義と聖約」1835年版では、この啓示に多くの追加と若干の修正がなされている。追加された単語や文章は、ヨハネと彼の使命についてのものである。ジョセフ・スミスが「ウリムとトミッム」を使ってどのようにしてこの情報を含む啓示を受けたのかは明らかでない。・・・ヨハネについての情報を得るにあたって啓示がどのような役割を果たしたのか、どのようにして翻訳がなされたのか、ということも知られていない。われわれが知っているのは、追加と修正がジョセフ・スミスによってなされたということだけである。・・・ジョセフ・スミスは、この翻訳になぜ追加を行なったのかということを示す記録は何一つ残していない・・・その回答となるようなものは推測しかあり得ない。("A Study of the Nature of and the Significance of the Changes in the Revelations as Found in a Comparison of the Book of Commandments and Subsequent Editions of the Doctrine and Covenants", BYUの修士論文, pp.154-155)

このことについて、論理的な説明は3つしかない。第一は、「教義と聖約」に啓示が再録される前に、ジョセフが使徒ヨハネの記録に勝手に言葉を付け加えることを決心し、それを誰にも言わなかったということである。この説明だと、ジョセフは詐欺師だといういうことになる。第二は、「教義と聖約」に啓示が再録される前に、主がジョセフ・スミスに、「ウリムとトミム」を使っての翻訳の誤まりを指摘したため、ジョセフは109語を追加して修正をせざるを得なかったということ。この説明では、ジョセフの翻訳の能力は怪しいものだということになる。わずか252語のうちの109語も脱落してしまうとしたら、翻訳者としては落第である。第三は、ジョセフ・スミスは正確な全文を把握していながら、なぜか「誡命の書」にはその一部分しか記さなかったということである。ピーターセンはこう言っている。

シドニー・B・スペリー博士は・・・ジョセフ・スミスが(「誡命の書」への)最初の出版にあたっては編集段階で翻訳の一部を削除し、その後、現在の版に見られるような完全な翻訳を書きあげたという可能性を示唆した。この見解の適否については、この問題に対する新たな証拠による光が投げかけられない限り、判然としない。("A Study of the....")

この説明にしても、ジョセフ・スミスは何のコメントをしていないのだから、やはり彼は詐欺師だということになる。その上、件の啓示(翻訳)から109語もの単語を削除する理由はどこにも見当たらない。この啓示は「誡命の書」の18ページに収録されているが、そのページをよく見てみると、啓示が短いため、ページの一部は空白となっており、109語を余計に収録するスペースも十分にある。したがって、何とか1ページに収めようということでもないのである。

実は、ジョセフ・スミスの書記を務めていたフレデリック・G・ウィリアムズによるこの啓示の手書き原稿の写しがあることがわかっている。これはウィリアムズの妻、ナンシー・C・ウィリアムズがその著書「After One Hundred Years」にその写真を掲載したものである。その原稿の内容は「誡めの書」と一致している。したがって、第三の説明は完全に否定されたことになる。

ヨハネの羊皮紙など、もともと存在しなかったのである。

 

参考文献:"Mormonism - Shadow or Reality?" by Jerald and Sandra Tanner


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