「教義と聖約」第18章における改変


「教義と聖約」第18章第3・4節における改変は、巧妙で見落としがちなものである。しかし、教会がその後やりたい放題なことをしていく上で、この改変は必要不可欠なものであり、極めて重要であった。

「誡命の書」に収録されている啓示の原文は以下の通りである。

「見よ、わたしはあなたに一つの戒めを与える。あなたは記されているものに頼りなさい。その中には、わたしの教会とわたしの福音とわたしの岩について、すべてのことが記されているからである。それゆえ、あなたがわたしの教会とわたしの福音とわたしの岩を築き上げるならば、地獄の門もあなたに打ち勝つことはない。」

ところが「教義と聖約」では改変され、以下のようになっている。

「見よ、わたしはあなたに一つの戒めを与える。あなたは記されているものに頼りなさい。その中には、わたしの教会とわたしの福音とわたしの岩の基について、すべてのことが記されているからである。それゆえ、あなたがわたしの福音とわたしの岩の基の上にわたしの教会を築き上げるならば、地獄の門もあなたに打ち勝つことはない。」(第18章第3・4節)

注意して読めばわかるように、「誡命の書」ではモルモン書(記されているもの)に教会と福音と岩(モルモンの教義では啓示を意味する)のすべてが記されており、それ以外が追加されることについては何の言及もなされていない。しかし、その後、ジョセフ・スミスはモルモン書に記載のない、新たな職制や儀式や教義をどんどん付け加えていったため、啓示との矛盾が生じ、どうしても啓示を改変する必要に迫られたのである。「岩」を「岩の基」とすることにより、「基」以外は今後いくらでも追加してよいという解釈ができる余地を残すようにした。また、「わたしの福音とわたしの岩の基の上にわたしの教会を築き上げる」としたことにより、「教会を築き上げる」過程で、モルモン書に記されていることを基本としながらも職制や儀式や教義の追加ができるという意味を持たせたのである。「教義と聖約」第5章における改変にもみられるように、ジョセフは当初、モルモン書の翻訳こそが最重要関心事(出版による一獲千金を狙っていた)であり、それ以上のことは考えていなかったと思われるが、翻訳を完了すると、自らが教会を築きを設立し、さらに教義を発展させていくことに野望を拡大させていったのである。これは最終的には多妻結婚という手段による肉欲の充足にまで暴走していったのである。

デビッド・ホイットマーは、このようなジョセフの動きに危惧を抱き、上記の改変を厳しく非難している。

これらの改変は、誤まりと霊的盲目に流されていった教会指導者たちにより行なわれたものである。シドニー・リグドンの影響を受けて、ジョセフ兄弟は毎年啓示を受けるようになり、キリストの教えとして記されていない新たな職制と教義をつくり出していった。数年も経つと、聖文に記された範囲を越えてしまったため、これらの啓示を改変しなくてはならなくなった。("An Address To All Believers In Christ")

これも、新たな教義を擁護するために過去の啓示を改変した事例である。

参考文献:"Mormonism - Shadow or Reality?" by Jerald and Sandra Tanner


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