月に人間が住んでいる


予言者であり聖見者でもあるジョセフ・スミスは、月面の様子までも見通していたらしい。オリバー・B・ハンティングトン氏の日記に、以下のようなジョセフの発言が記録されている。

月面上の住民は、地球上の住民よりも背丈が一様で、だいたい6フィートくらいの身長である。彼らは一般的にクエーカー教徒のような装いである。また、大変長生きで、大概は1000歳まで生きる。」これは聖見者ジョセフが月の住民について語った内容であり、彼はイエスの名によって御父に願えばどのようなものでも見ることができるのだ。("Journal of Oliver B. Huntington," Vol.3, p.166 of typed copy at Utah State Historical Society)

今となっては、教会員もさすがにこのようなジョセフの発言を信じてはいないだろう。この発言はジョセフの予言者としての発言ではなく、19世紀時代の個人の考えだと解釈しているようだ。しかしながら、彼は月に住民がいるという考えを、公式の教義と同格に扱っていたのである。つまり、ジョセフは月に住民がいるという、神からの啓示を受けたと信じていたのである。マーチン・ハリスはジョセフの話を聞いて、すっかりその気になってしまったと思われる。

ダニエル・ヘンドリクスは、ある晩、マーチン・ハリスと共に馬でとある村に向かう途中、月のあまりの美しさを賞賛したところ、ハリスは、自分は月を訪れたことがあり、それが許されるのは信仰に忠実な者だけだ、と答えた。(William A. Linn 著、"The Story of the Mormons"より)

マーチン・ハリスのように暗示にかかりやすい人間が、モルモン書の金版を見たという見証者の一人なのだから、見証者の証言などあてにならないのである。

ジョセフの死後も、教会は長い間にわたって月に住民がいるという教義を教えていた。教会の第二代大管長ブリガム・ヤングは1870年7月24日に以下のような説教をしている。

あの「月」と呼ばれる晩に輝く小さな天体に住民がいることを知っている者がいるだろうか。もしあの天体に住民がいるかどうかを聞かれたら、この地上の最も教養のある者であっても、無知をさらすしかないだろう。太陽に住む住民についても同様である。太陽に住民がいると思いますか。私は、いると思っている。あそこに生命体が住んでいると思いますか。何の疑問もない。目的なしに造られたのではないのだから。(Journal of Discourses, Vol.13)

月に住民がいるという教えは1892年になって教会出版物に登場している。「Young Woman's Journal」の中でO・B・ハンティングトンはこう書いている。

天文学者や哲学者は太古の昔から今にいたるまで、月には住民がおらず、大気もない、などと主張してきている。しかし強力な天体望遠鏡を使った最近の発見によると、そのような説に疑問が投げかけられている。最近50年間の偉大な発見は、直接・間接にジョセフ・スミスが真の予言者であったことの証拠を提供している。1837年にジョセフは、地球と同様に、月にも男女の住民が住んでいて、普通は1000歳まで生きると語った。ジョセフによると、月の住民は身長6フィート程度で、一様にクエーカー教徒風の服を着ているとのことだった。1837年カートランドで予言者ジョセフの父親が私に与えた「祝福師の祝福」では、私は21歳になるまでに伝道に行き、海の島々の住民や、今私の頭上に輝いている月の住民にまで福音を宣べ伝える、と宣言された。("The Young Woman's Journal",1892, Vol.3)

教会では、ジョセフ・スミスのような予言者以外にも、さまざまな役職にある人間は神からの啓示を受けることができるとされている。「祝福師」もその一人である。ジョセフの兄であり、祝福師でもあったハイラム・スミスの発言が、ある日記に記されている。

われわれが見る星々の一つ一つに、地球と同様に住民が住んでいる。太陽にも月にも星にも住民がいるのである。(George Laub's Journal, as cited in Brigham Young University Studies, Winter 1978)

教会の第五代大管長ロレンゾ・スノーに与えられた祝福師の祝福でも、「月に行く力が与えられる」と宣言されている。月に住民がいるというのは、かつてはかなり教会内に広まっていた教えだったのである。

現在のモルモン教会は、当然のこと(?)ながら、月に住民がいるなどということを教えていないし、信じてもいない。つまり、ジョセフ・スミスや当時の教会員の誤りだということを認めている。しかし、依然として、モルモン書は真実であり、アブラハム書のパピルスも真正なものだと言い張っている。月の住民の一件が誤り、もっと端的に言えば「口から出任せ」なら、ほかの教えも随分いい加減なものだろうと推測するのが健全な思考である。

参考文献:"Mormonism-Shadow or Reality? " by Jerald and Sandra Tanner


「ジョセフ・スミスの真実」に戻る

wpe2.jpg (1592 バイト)