モルモン教徒と自殺者率


モルモン教徒はみずからを「幸福な民」と呼んでいるが、本当にそうなのだろうか。人の幸福の度合いを客観的に測定するというのは極めて困難であるが、一つの基準として、グループにおける自殺者率をとってみた。以下のデータは1990年から1994年にかけての全米各州及び地域別の自殺者率である。モルモン教徒が本当に「幸福な民」であれば、モルモン教徒の比率の高いユタ州及びその周辺地域の自殺者率はかなり低いのではないかと推測したからである。その結果はどうであったか。以下のデータをご覧いただきたい。

注:データは1994年の自殺者率の高い順に配列されている。州名の右側のアルファベットは地域名を示している(日本で言えば、東北、関東など)単位は人口10万人あたり。太字は上位10位以内に入っていることを、青字は全米平均値以下であることを、赤字は全米平均を示している。

<州別データ>

州名 / [地域略称]

1990

1991

1992

1993

1994

ネバダ [M]

24.5

24.8

24.6

23.4

23.4

ワイオミング [M]

17.9

18.9

18.1

22.4

22.5

アラスカ [P]

12.7

12.8

15.3

16.2

20.0

アリゾナ [M]

18.7

17.7

17.0

18.4

18.8

モンタナ [M]

20.9

19.9

18.6

18.4

18.5

ニューメキシコ [M]

18.7

18.3

19.2

17.8

18.3

アイダホ [M]

19.1

15.9

15.8

17.2

17.7

コロラド [M]

16.8

16.7

17.3

17.0

16.8

オレゴン [P]

15.8

15.5

16.4

15.3

16.6

ユタ [M]

15.3

16.2

14.1

14.0

15.3

フロリダ [SA]

16.1

15.8

15.0

15.5

14.9

アーカンソー [WSC]

12.5

11.9

12.2

13.1

14.8

ウエストバージニア [SA]

12.2

13.3

13.3

14.8

14.2

ワシントン [P]

13.9

13.8

13.5

13.1

14.2

オクラホマ [WSC]

12.5

13.9

14.7

15.2

13.8

ミズーリ [WNC]

13.8

13.4

12.1

12.8

13.8

サウスダコタ [WNC]

13.1

13.5

11.2

16.3

13.5

メーン [NE]

12.6

14.3

12.7

14.6

13.5

ケンタッキー [ESC]

14.9

13.2

13.1

13.8

13.5

サウスカロライナ [SA]

12.4

11.8

12.9

13.5

12.8

テネシー [ESC]

13.4

13.4

12.9

13.2

12.8

ルイジアナ [WSC]

13.2

13.1

12.4

12.4

12.8

テキサス [WSC]

13.0

13.0

12.8

12.6

12.7

ノースカロライナ [SA]

14.0

12.5

12.6

11.3

12.7

アラバマ [ESC]

12.7

13.2

12.6

13.2

12.6

インディアナ [ENC]

13.1

12.5

12.3

12.8

12.5

ノースダコタ [WNC]

11.4

11.7

10.3

12.4

12.5

バージニア [SA]

12.9

12.6

12.7

12.1

12.5

ニューハンプシャー [NE]

13.4

11.8

12.3

12.8

12.1

全米合計

12.4

12.2

12.0

12.1

12.0

カリフォルニア [P]

12.5

12.2

12.1

12.4

11.8

ジョージア [SA]

13.6

13.5

12.0

12.4

11.8

ミシシッピ [ESC]

11.2

12.5

12.7

12.4

11.8

ハワイ [P]

11.3

9.4

11.2

10.3

11.7

ウィスコンシン [ENC]

12.7

11.6

11.7

11.7

11.6

ネブラスカ [WNC]

13.9

12.0

11.7

10.6

11.6

カンサス [WNC]

12.0

12.4

12.4

13.3

11.4

アイオワ [WNC]

12.1

12.0

10.2

11.3

11.4

デラウェア [SA]

12.0

11.6

12.7

13.5

11.3

ペンシルバニア [MA]

12.2

11.7

11.6

11.7

11.0

ミシガン [ENC]

11.5

12.2

11.3

11.5

10.9

ミネソタ [WNC]

12.5

11.5

11.5

11.0

10.8

メリーランド [SA]

10.2

8.8

9.4

10.7

10.5

バーモント [NE]

14.9

16.2

14.0

16.0

10.0

オハイオ [ENC]

11.0

11.3

10.8

10.4

9.9

コネチカット [NE]

9.1

10.0

9.1

9.2

9.9

イリノイ [ENC]

10.1

10.3

9.8

9.9

9.1

マサチューセッツ [NE]

8.8

8.2

8.9

7.8

8.5

ロードアイランド [NE]

12.7

8.2

7.3

9.0

8.2

ニューヨーク [MA]

8.6

8.8

8.5

7.6

8.2

ニュージャージー [MA]

7.3

6.6

6.6

7.1

7.3

ワシントンDC [SA]

6.1

5.7

5.8

7.4

5.1

 

<地域別データ>

地域名[略称]

1990

1991

1992

1993

1994

Mountain [M]

18.5

18.0

17.7

18.0

18.3

West South Central [WSC]

12.9

13.0

12.9

12.9

13.0

South Atlantic [SA]

13.7

13.1

12.9

13.1

12.9

East South Central [ESC]

13.2

13.1

12.9

13.2

12.7

Pacific [P]

12.9

12.6

12.6

12.7

12.6

West North Central [WNC]

12.9

12.5

11.5

12.1

12.1

全米合計

12.4

12.2

12.0

12.1

12.0

East North Central [ENC]

11.3

11.4

11.0

11.0

10.5

New England [NE]

10.2

9.8

9.7

9.6

9.7

Middle Atlantic [MA]

9.5

9.2

9.1

8.8

8.9

ご覧になってわかるように、モルモン教徒が70%以上を占めると言われているユタ州を含む Mountain地域の自殺者率は群を抜いて高い。自殺者率に影響を与えるのは、ライフスタイル、基本的な価値観、銃入手の容易性など、さまざまな要因があり、これだけのデータでモルモン教徒が不幸な民であると決めつけることはあまりにも乱暴だが、彼らが「幸福な民」であると自称する割には、それが自殺者率データに反映されていない。

参考までに、自殺者率データ以外に幸福度を反映すると思われる事実を以下に挙げてみる。("Denver Post"紙、"Los Angeles Times"紙を参考)
・ユタ州の離婚率は全米平均より高い
・ユタ州における離婚女性の年齢でもっとも多いのは20歳である
・ユタ州における幼児殺人率は全米平均の5倍である
・ユタ州の出生者の半分は10代の母親から生まれ、そのうちの7割は未婚出産である
・結婚から出産までの期間は7ヶ月がもっとも多い
・ソルトレークシティにおける婦女暴行件数は、全米の同規模の都市と比較して2倍である
・酒とタバコをたしなまない代わりに、成人の46%が肥満である(全米平均は19%)
・1973年に政府機関が行なった調査によると、モルモン教徒による鎮静剤、精神安定剤、抗鬱剤、興奮剤、精力剤、ヘロイン、コカイン、LSDの使用率は、非モルモン教徒よりも高い
・教会が経営するブリガムヤング大学では、男子学生の80%が卒業するが、女子学生の卒業率は30%である(1978年調査)
・ユタ州で働く女性は同じ仕事をする男性の53.5%の賃金しかもらっていない
・ユタ州の人口一人あたりの所得は全米最下位である(子供の数が多いためと思われる)
・女性は家庭にとどまるべきという教会の教えにも関わらず、ユタ州の女性の50%は就業しており、全米平均を上回る


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