ルシフェルはラテン語

モルモン書の元になったという金版には古代エジプト語が変化した変形エジプト語なるものが使われていたと言う事になっています。しかし、ニーファイ人は日常はヘブライ語を使用していたといいます。話し言葉と書き言葉が別、これだけでも充分おかしな話しです。
それに留まらずモルモン書(金版)には当時には使えないはずの言葉が使われています。
歴史的に言語として確立していない言葉、あるいはイスラエル、ユダヤに伝播していなかった言語が使用されているのです。もっとも多く発見されるのがギリシャ語で、モルモン書がインチキである証明になっています。

ここでは「啓示版アナホリ」でsugerさんがご指摘になった、ルシフェル(Lucifer)を取り上げます。結論から述べると、Luciferはラテン語でギリシャ語より新しい言語で、モルモン書には出てくるはずもないのです。
問題となる箇所は、第2ニーファイの24章12節です。そこに以下の記述があります。

おお、暁の子ルシフェルよ、あなたはどうして天から落ちたのか。もろもろの国々を打ちのめしたあなたが、地に切り倒されるとは。

How art thou fallen from heaven, O Lucifer, son of the morning!  Art thou cut down to the ground, which did weaken the nations!

この箇所はイザヤ書14章12節からの引用と言うことになっています。ジョセフ・スミスが活用していた欽定訳聖書から同じ箇所を見てみます

How art thou fallen from heaven, O Lucifer, son of the morning! [how] art thou cut down to the ground, which didst weaken the nations!

ほとんど一緒です。
ここで重要なことがあります。Luciferという単語が出て来ています。モルモン書ではこの箇所に「ヘブライ語」と注を入れていますが、これは嘘なのです。Luciferはヘブライ語ではなくラテン語なのです。
ラテン語はローマ時代の公用語で、イザヤの時代、ニーファイたちの時代にはなかった言葉です。イザヤが使うはずもない言葉なのです。もちろんヘブライ語聖書にはLuciferと言う単語は出てきません。欽定訳聖書はこの箇所を誤訳あるいは意訳してLuciferを使ってしまっているのです。ヘブライ語のイザヤ書を転載したはずのモルモン書は欽定訳の間違った訳をそのまま採用してしまっているです。これもジョセフ・スミスがモルモン書を創作した証拠です。
これを最初に指摘されたのは初期キリスト教を研究しておられるsugerさんでした。sugerさんのアナホリでの書き込みはかなり詳しく説明されています。以下に引用します。

仰るとおり、私が疑問に思ったのは、ルシファーがラテン語であるということです。そもそも私は、ラテン語を頼りに、ラテン語が公用語とされていた時代の神学の原典を研究している身分なので、すぐさまおかしいと気付いてしまいました。
Luciferは100%ラテン語です。ラテン語は語を分解することで意味が分かることが特徴的ですが、LuciferはLuxとferoに分解できます。Luxとは、光という意味で、これがlucis,luci,lucem,luceと第三格変化をし、この時に「x」から「c」に変わります。
そしてferoですが、これは動詞であり、多義語ですが、まあ運ぶ・作り出すなどの意味だとこの場合は考えていいと思います。
従って、Luciferは「光を運ぶ」「光を作り出す」→「光を発する」「明るく照らす」という意味になるわけです。このように『ラテン語を扱う人々』によってルシファーという言葉は作られたのは明白です。
ヘブライ語についてあまり知らない私でも、「ルシファーはヘブライ語っぽくないな、それはハローが日本語だと言うのと同じくらい違和感がある」と考えましたし、100%ラテン語だと分かっていましたが、念のためにヘブライ語を学ぶ友人の研究者に尋ねてみました。彼は、ルシファーはヘブライ語起源ではないこと、ルシファーは「ヘレル・ベン・サハル」という「明けの明星」を意味するヘブライ語からの訳であることなどを教えてくれました。
ちなみに、「明けの明星」を「悪魔ルシファー」と意味を変えたのは、オリゲネス(およそ2世紀あたりのアレクサンドル学派の教父哲学者で、我々の間では超有名であり、研究者も多い)だそうです。私は聖書自体を研究する者ではないので、こうしたことについてはあまり詳しくないです。
ですから、最も信用性の高い新共同訳聖書では、ルシファーという記述はなく、「明けの明星」になっていますし、もちろんヘブライ語原典では、「ヘレル・ベン・サハル」となっています。但し、ウルガタ聖書ではLuciferはあるのです。つまり、ヒエロニムスはオリゲネスから受け継いでいるようです。
私自身、口語訳・KJVは全く信頼に値しない聖書だと知っていますので手元にありませんが、ルシファーという記述がイザヤ14章12節にあるならば、やはりそれは欠陥と言えるでしょう。ジョセフは、KJVを当てにしたために、とんでもない欠陥を自身のモルモン書に露呈させることになったのです。
とにかく悪魔としてのルシファーは2世紀以降の言葉であり、ウルガタ聖書にそれが載せられるのも5世紀あたりとなります。となると、二つの疑惑が生じます。

 @なぜラテン語の記述がそもそもあるのか?
 Aなぜ「紀元前6世紀」にルシファーが悪魔として語られるのか?

 

さて、モルモン書には、注として「ヘブライ語で、明けの明星、暁の子の意。邪悪の世(バビロン)の支配者が全ての悪の支配者であるルシフェルとして述べられている」という記述があります。
とんでもない注ですね。まず、ルシファーはヘブライ語ではないのに、ヘブライ語であると言っているのですから。そしてなぜラテン語について全く触れてないのでしょう。
注をつけた人は、もともとはヘブライ語の明けの明星を意味し、それが悪魔ルシファーとして使われたということまで知っているので、これがラテン語に由来する言葉だと知っていたのではないでしょうか。いや、知っていたからこそ、あえて嘘をついてヘブライ語であると言うことができたはずです。なぜそんなことをしたのか?
それは、「ラテン語であると述べてしまえば、この書が偽物だと感づく読者が出てきてしまう!!」と考えたからです。

上記に紹介のあった新共同訳聖書の同じ箇所の訳は以下の通りです。

ああ、お前は天から落ちた/明けの明星、曙の子よ。お前は地に投げ落とされた/もろもろの国を倒した者よ。

正確を期すためもう一方の権威、関根正雄訳(岩波文庫)も引用します。

曙の子、明星よ、どうして/お前は天から落ちたのか。/諸国を打ち倒したお前が/どうして地に倒されたのか。

 

ルシフェルという言葉は見えません。最近の英訳聖書もLuciferという単語は使用していません。
たかが一語、されど一語。詳細に調べれば、たったこれだけでモルモン書がインチキだということが分かってしまうのです。この場合は酷い事にことにモルモン教団は既に間違いと分かっていることを、注釈に嘘を書いてまで、尚もごまかし通そうとしているのです。

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