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タイトル選ばれた風下の人
記事No: 1889
投稿日: 2004/03/06(Sat) 15:38:26
投稿者るう@世話人
URLhttp://garyo.yi-web.com/mormon.htm

るう@世話人です
トゥゲザーさんのBBSで話題に出た、アトミックエイジ(豊崎博
光:築地書館)の紹介です。

モルモン教徒が教団の都合、異端教団の汚名をそそぐために、愛国
者として、核実験被害を甘んじてうけなければならなかったことを
同書は述べています。

核実験が行われなのはネバダ実験場でした。核実験は1951年に開始
され、58年まで大気圏内で約100回、58年から92年9月まで1000回以
上の地下核実験が実施されたそうです。政府は実験を行うにあたっ
て、風が北ないしは北東に向かって吹いている時に限定しました。
それは南に吹いているとラスベガスに死の灰が降る可能性があり、
西や北西の風になるとロサンゼルス、サンフランシスコという大都
市に及ぶ恐れがあったからでした。
そして、風下となる北東地域にはユタ州の南部が含まれていました。
以下引用をします。(同書:P191〜192)

*-*-*-*-*-*
実験場の北および北東の地域−−ネバダ州北部、ユタ州南部、アリ
ゾナ州北西部−−にももちろん人間は住んでいる。ウェスターン・
ショショニー部族(ネバダ州)やパイユート部族系(ユタ、アリゾ
ナ州)インディアンなどの先住民と白人である。しかし、「少数」
ということで無視された。しかも、ユタ州南部を中心に住む白人の
多くは愛国的なモルモン教徒だった。正統的なキリスト教からは異
端とみなされるモルモン教徒は発足以来迫害をうけつづけ、ニュー
ヨーク、イリノイ州などを経てやっとユタ州南部の地に安住の地を
みつけたのだった。異端視される理由のひとつに一夫多妻結婚制度
があった。一夫多妻制度は連邦政府の勧めで一八九〇年に廃止され、
晴れてアメリカの市民権を得た信徒たちは、以来、愛国者となった。
「核実験は国家の戦力を強化し、より良い市民防衛である」「核実
験は敵の攻撃に対する防衛力を強化する」(一九五五年一月、アメ
リカ原子力委員会が作成し、ユタ州南部の住民たちに配布した小冊
子「ネバダ実験場周辺地域における原爆実験の影響」より)。この
キャンペーンは愛国心を刺激した。
人びとは選ばれた風下の人となった。
*-*-*-*-*-*

ユタ州南部で特に被害を受けたのはセント・ジョージ、シーダー・
シティなどでした。ラスベガスのホテルでは「わがホテルからは、
原爆実験のキノコ雲が見えます」という宣伝文句を出していたりし
たそうです。また、政府は「核実験は安全である」と宣伝していた
ため、気にせずに普段の生活をしてた人やわざわざ見物に出かけた
モルモン教徒も被曝したことが報告されています。

モルモンはアメリカの中で地位を得ようと必死だった状況から、ユ
タ南部を核実験の風下として認めざるを得なかったのでしょう。こ
うした不幸も結局はモルモンがその狂った教義を清算しないための
被害といえるのです。